Vol.3. 「ガーナの地方診療所が資金難に陥っている理由」(2020/05/10)
- ViVID
- 2021年4月9日
- 読了時間: 2分

新型コロナウイルス感染症対策事業: ''Fight COVID-19 with ViVID''広報の一環として、ほぼ隔日でガーナの情報をお伝えする「おうちでガーナ」。第3回目は、蔵田より「ガーナの地方診療所が資金難に陥っている理由」についてお伝えします。
現在ViVIDはセイチェレ診療所と共同事業: ''Fight COVID-19 with ViVID''を行なっています。パートナーのセイチェレ診療所は日本のODAによって設立されました。一般的な病気の治療から住民の定期検診や出産まで行うコミュニティに唯一存在する医療機関で、現在コミュニティのコロナ対策の中核を担っています。しかしながら、慢性的な運営資金不足で、診断過程で必要な体温計、医療従事者自身を守る医療用マスク・手袋、防護服が不足している状況です。
では、どうしてセイチェレ診療所を始めとするガーナの地方診療所は、このように資金難に陥っているのでしょうか?ガーナの地方診療所に勤務する助産師Habib Augustinaに話を聞いてみました。
Augustinaによると、ガーナの医療システムは、大きく分けて政府が提供する医療サービスGHS (Ghana Health Service) とCHARG (Christian Health Association of Ghana)などの私立系医療サービスの2つに区分することができます。GHSは僻地から大都市までガーナ全土を網羅している一方、CHARGなどの私立系医療機関は主に都市部(地方には存在しない)で医療サービスを提供しています。
Augustinaは、ガーナの地方病院が資金難に陥っている理由の一つとし、「病院の運営資金調達を独自の医療機関が行わなくてはいけない」という点を挙げています。実際のところ、GHSは各医療機関(地方にある診療所から都市にある大病院まで)に運営資金はもちろん医療用品の提供すら行う資金的余裕がありません。また、都市部の大病院は管理職を設置し病院経営を任せている一方、地方の診療所では管理職を設置する資金的な余裕が無いため、医療従事者(助産師や看護師)が病院運営・資金調達まで行うように求められています。すなわち、地方病院を含むGHS系列の医療機関は、独自のIGF(internal generated fund)により、医療用品を揃える必要があるのです。多くの地方病院の場合、IGFは患者からの診察代で賄われています。都市部ではより多くの患者が病院にアクセスできIGFも地方に比べると比較的簡単に確保できる一方で、例えば、Sekyere診療所のような貧困地にある診療所に関しては、IGFを上げるために貧困患者の治療費を上げるわけにはいきません。また、IGFが高められないため診療所での医療サービスも低下し、これが原因でガーナでは都市部と地方病院の医療サービスの差が広がっているとAugustinaは指摘しています。
Comments